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解体工事に必須のマニフェスト制度を解説!
解体で発生した産業廃棄物がきちんと処理されているかどうか、気になってしまう施主もいるかと思います。
産業廃棄物の不法投棄の問題を聞いたり、実際に不法投棄されているのを見たりすると心配になる気持ちもわかります。
もし解体で発生した産業廃棄物が、適正に処理されたか知りたい場合は「マニフェスト」を確認しましょう。
本記事ではマニフェストとはどのようなものか、なぜマニフェストを確認すると適正に処理されたことがわかるのかなど解説していきます。
解体工事で出た産業廃棄物の処理は施主にも影響するため、マニフェストについて理解しておくようにしましょう。
マニフェスト制度について
マニフェストは法律で作成を義務付けられている書類であり、解体で発生した産業廃棄物の処理に関連する人たちが作成します。
解体工事の施主は直接産業廃棄物の処理に関わっているわけではないため、マニフェストを作成する義務はないものの、間接的に関わった人であるためマニフェストについて理解しておく必要があります。
ここからは、マニフェストとは何か、マニフェストを使った産業廃棄物の処理の流れなどを解説していきますので、解体工事を検討している方は参考にしてください。
マニフェストとは
マニフェストとは、産業廃棄物の処理が適正におこなわれたか記録する書類です。
解体工事をおこなうと木くずや鉄くず、コンクリートガラなど多くの廃棄物が発生します。
廃棄物はそれぞれきちんと分別し、捨てなければなりません。
しかし、きちんと分別して捨てたかどうか証明するものがなく、不法投棄が問題となってしまっていました。
不法投棄を防止する役割として、1997年の廃棄物処理法改正によりマニフェストの作成が義務付けられました。
マニフェストの作成者は排出業者・運搬業者・処分業者であり、それぞれが自身の業務をおこなってサインします。
廃棄物に関わる業者のサインがすべて揃っていれば、廃棄物が適正に処理されたことがわかります。
記載内容は廃棄物処理法施行規則第8条に記載されており、必要事項を記載し、作成者はマニフェストを保管しなければなりません。
紙のマニフェストと電子マニフェスト
マニフェストは紙ベースで作成されていましたが、近年はマニフェストを電子化して発行・保管する方法が多く取られています。
電子マニフェストの利用が増えているのは、電子化に次のようなメリットがあるからです。
- 電子化していると紙ベースよりも保管が楽になる
- 電子化ならサインがなされたかすぐに確認できる
- 情報管理センターという第三者がデータ管理しているため不正防止になる
- 電子であれば紙のような誤字脱字を防げる
- 電子マニフェストだと報告義務など一部の処理が削減できほかの業務に時間を避ける
このように電子マニフェストには紙のマニフェストよりもメリットが多くあり、利用する業者が増えています。
マニフェストを使った廃棄物処理の流れ
マニュフェストを使った廃棄物処理の流れは次のとおりです。
なお、マニフェストは7枚綴りの書類であり、流れごとに各業者へマニュフェストを渡していきます。
1.解体工事で廃棄物が発生する
- 排出業者がマニフェストを作成
2.運搬業者が廃棄物を収集する
- マニフェストのA票を排出業者は控えとして保有
- B1票・B2票・C1票・C2票・D票・E票の合計6枚を運搬業者に渡す
3.運搬業者が処分業者のところに廃棄物を運ぶ
- マニフェストのB1票を運搬業者は控えとして保有
- B2票を運搬業者が排出業者へ渡す
- C1票・C2票・D票・E票の合計4枚を処分業者者に渡す
4.中間処理終了
- マニフェストのC1票を処分業者は控えとして保有
- C2票を処分業者が運搬業者へ渡す
- D票を処分業者が排出業者へ渡す
- E票は最終処分が終わるまで処分業者が保管する
5.最終処分終了
- E票を処分業者が排出業者に渡す
上記のような流れでマニフェストの各票を関係者が保管・送付をおこないます。
マニフェストの内容
廃棄物を適正に処理するため、マニフェストには多くの項目を記載し、関係者それぞれがマニュフェストを保管します。
ここからはマニフェストの項目や各票の内容をみていきます。
マニフェストの項目
マニフェストの記載事項は決まっており、次の内容を記載しなければなりません。
- マニフェストを交付した年月日
- マニフェストを交付した担当者の名前
- 廃棄物の排出業者の名称・所在地
- 廃棄物を排出した事業場の名称・所在地
- 廃棄物の種類・量・荷姿
- 最終処分をおこなう場所の所在地
- 運搬業者の名称・所在地
- 運搬先の事業場の名称・所在地
- 処分業者の名称・所在地 など
上記のようにマニフェストには、廃棄物処理に必要な多くの項目が記載されます。
マニフェストに記載されていることを確認すれば、廃棄物がどのような流れで処分されたのか一目でわかります。
マニフェスト票の内容
マニフェストは7枚綴りの書類であり、次のように利用・保管されます。
票の名称 | 利用用途 |
---|---|
A票:保管票 | 廃棄物の排出業者の控えになる票 |
B1票:運搬終了票 | 処分業者へ廃棄物の運搬終了後に運搬業者の控えになる票 |
B2票:運搬終了票 | 運搬業者から排出業者に返送される票 |
C1票:保管票 | 処分終了した後に処分業者の控えになる票 |
C2票:保管票 | 処分終了した後に処分業者から運搬業者に返送される票 |
D票:処分終了票 | 処分終了した後に処分業者から排出業者に返送される票 |
E票:最終処分終了票 | 最終処分が終了した後に処分業者から排出業者に返送される票 |
マニフェストは上記の7票が基本であるものの、処分する廃棄物の内容などによって票の枚数が増えることもあります。
マニフェストの返送期限・保管義務・罰則
マニフェストは法律により記載事項が決まっており、そのほかにも業者間の返送期間や保管義務が定められています。
また、義務などに違反すると罰則も設けられているため、マニフェストは適切な流れで正確な内容を記載しなければなりません。
ここからはマニフェストの返送期限・保管義務・罰則について解説していきます。
マニフェストの返送期限と保管義務
マニフェストを各業者に返送するときには、次の期間を守らなければなりません。
票の名称 | 返送期限 | 返送先 |
---|---|---|
B2票 |
交付から90日以内 (特別管理産業廃棄物の場合は60日以内) |
運搬業者→排出業者 |
D票 |
交付から90日以内 (特別管理産業廃棄物の場合は60日以内) |
処理業者→排出業者 |
E票 | 交付から180日 | 処理業者→排出業者 |
また、マニフェストは廃棄物の処理及び清掃に関する法律により、5年間保管しなければならないと定められています。
マニフェスト制度の罰則
マニフェストに関連する罰則は、次のようにいくつもあります。
【6ヶ月以下の懲役また50万円以下の罰金】
- 記載違反
- 交付義務違反
- 保存義務違反
- 虚偽記載
【5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。もしくは両方を併科される】
- 無許可業者への処分委託
上記のようにマニフェストに関する罰則は厳しく、上記のほかにも営業禁止などの行政処分も課されるケースがあります。
解体業者選びではマニフェストを確認しよう
解体業者を選ぶときには、マニフェストをきちんと発行しているか、マニフェスト発行後に内容を確認させてくれるか確認しましょう。
ここからはなぜマニフェストを確認するのか、確認するときのポイントについて解説しますので、解体業者を選ぶときの参考にしてください。
マニフェストは不法投棄をしていない証拠
マニフェストは不法投棄をしていない証拠となるため、マニフェストをしっかりと残す解体業者を選択しましょう。
マニフェストには廃棄物の発生場所から最終処分された場所が記載されており、各業務を担当した会社名や担当者などのサインも記載されています。
各業者に確認せずともマニフェストのE票を確認し記載漏れがなければ、不法投棄がおこなわれていない証拠となります。
そのため、解体業者を選ぶときには、廃棄物を最終処分した後のマニフェストを見せてくれるかどうかを確認しておくことが大切です。
マニフェストの確認ポイント
マニフェストの確認ポイントは、E票のコピーを解体業者から受け取り、次の内容を確認することです。
- 運搬業者のサインがあるかどうか
- 処理業者のサインがあるかどうか
- 最終処分した日が明記されているかどうか
上記のいずれかの項目がE票に記入されていない場合、不法投棄を疑ったほうがよいかもしれません。
もしE票に未記入の項目があったときには、解体業者にきちんと廃棄物を処理しているか問合せしましょう。
また、解体業者がマニフェストについて対応してくれないときには、自治体に相談し解決することが大切です。
基本的に施主が不法投棄の責任を負うことはありませんが、不法投棄を見逃すなどの過失がある場合は責任が及ぶ可能性もあるため注意しなければなりません。
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